2026.06.30
奪ってくれる日まで
「自動化に仕事を奪われる」という話を聞くたびに、少し引っかかることがある。奪われる、という言い方だ。奪われるとは、本来持っているものを、本来持つべきでない誰かに取られることを指す。では僕らは、今持っている仕事を、本当に「持っているべきもの」として認識しているのだろうか。
2010年代のはじめ、嘘か本当か分からないけれど、中国の電子機器メーカーが話題になった。そこでは「自殺しない」という誓約書に署名させられてから、労働者が組み立てラインに立った。誓約書が必要になるほど追い詰められた環境で、スマートフォンが作られていた。その同じ会社が後に、数万台のロボットを導入して、ライン作業を機械に置き換えた。
このとき人は何かを「奪われた」のだろうか。奪われた、と言うためには、その仕事が守るに値するものだったという前提が要る。だが誓約書が必要な場所で続ける仕事は、守るに値する仕事なのか。それでもその工場を離れることができなかった人たちのことを考えると、「仕事を失う恐怖」はどんな環境の仕事にも等しく貼りついているのだと気づく。
「ロボットに仕事を奪われる未来」を語る人の多くは、「仕事こそが人の価値を支えるもの」という前提を自明として持っている。その土台が揺らぐと話全体が崩れるから、前提に触れないまま「どう対応するか」の話をする。でも深夜にひとりで考えていると、その前提ごとひっくり返せないかという気持ちが浮かんでくる。
だけど、いつまで?どこまで?ロボが全員の仕事、奪ってくれる日まで? / こんな思考、きっと深夜のせい、ほら、日の光、浴びて考え直せ
——RAq「スリープレス」
朝になれば「考え直せ」と言われる。でも深夜にだけ浮かんでくる問いが、昼間には見えにくいものを照らしていることもある。
▷ この曲を聴く https://raq-official.com/?p=82
RAq Profile https://mybase.fan/raq
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